神無月拾五日|富山アピタ東珈琲教室・アピタ富山珈琲教室

露が冷たくなり、空気が澄みわたるころ。
道端の草花がわずかに色づき、風に乗って菊の香りがほのかに漂います。
秋の深まりとともに、珈琲の香りもどこかしっとりと感じられる季節になりました。

富山アピタ東の生徒さんたちは、十月四日に開催されたイベントで、はじめてのカフェ出店に挑戦されました。
このお話は、実は前回の教室から続く小さな物語です。
あのときは「どんなメニューにしよう」「看板はどうする?」と、試行錯誤の真っ最中。
テーブルの上には紙コップとメニュー案が並び、みんなで味を確かめながら、笑いの絶えない準備時間でした。

そして迎えた本番。
「どうでした?」と尋ねると、「思ったよりお客さんが来なかったんです」と少し肩を落としてしょんぼりとしています。
資料をみると「ちゃんと売上はプラスなってますね。初回で上出来では?」と尋ねると笑顔に戻る瞬間。
「場所が悪かった」「もっとこうしたかった」と次々に出てくる言葉には、
すでに次への意欲がにじんでいます。

初めての出店という舞台は、きっと思うようにいかないことも多かったでしょう。
けれど、その悔しさや戸惑いも含めて、すべてが成長なのです。
「もっとこうしたい」という気持ちは、誰よりも強い証拠です。
次に並ぶカップは、きっと今日よりも少しおいしくなるはずです。

さて、今日も楽しいコーヒーの時間の始まりです。
この日の豆は、南青山で購入したケニアのウォシュド。
前回お試しで参加された方が正式に生徒さんとなり、心新たなスタート……のはずが、
お一人がなかなか現れません。

どうやら「100円ショップでどの雑貨を買うか迷っていたら時間になってしまった」とのこと。
教室中が笑いに包まれ、穏やかな空気が流れました。

いつものようにカッピングをして味を確かめ、抽出を重ねながら風味の特性を考えます。
一年以上通ってくださっている方が多く、質問が次々に飛び交って、なかなか進まないのもこのクラスの良いところ。
時間ぎりぎりまで真剣な話と笑い声が入り混じり、あっという間のひとときでした。

教室が終わるころ、「実は出店のときにちょっと喧嘩しちゃったんです」との打ち明け話。
「いい経験をしましたね」とお伝えすると、
少し迷ったような、反省したような、照れたように笑っていました。
うまくいくことも、そうでないことも。
どちらも次の一杯をやさしく豊かにしてくれる、大切な時間です。

日が暮れるのも早くなり、夕焼けの色を見送りながら次の教室へ。
アピタ富山店では、少し疲れを感じつつもまた新しい香りが広がります。

この日はお一人、お仕事の都合でお休み。
課題豆は、生徒さんの娘さんがフィリピンのスーパーで購入された豆でした。
深煎りでしっかりとした苦味、袋には「アラビカ100%」の文字。
けれどその香りには、どこかベトナムコーヒーを思わせるコーヒー。手ごわい雰囲気をかもしだしています。

さらに、この日もうひとつの主役は「鉄瓶」。
生徒さんが、お父様から受け継いだ鉄瓶を持参され、
「いつもこれで淹れてるんです」と誇らしげに話されました。
ケトルと鉄瓶、それぞれで同じ豆を淹れて飲み比べると、
「本当に違うね」と驚きと笑いが混ざります。
湯にとける鉄の成分が、風味の輪郭をシャープに変えるようでした。

こうして季節が移ろうように、珈琲の表情もまた変わっていきます。
その変化を共に感じ、味わい、笑い合える時間こそ、
教室のいちばんの醍醐味なのかもしれません。

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