月白く冴ゆる日に、技と心を磨く。
十五夜の月が静かに昇るその日。
MicT高岡店では、朝九時から一人の新しいスタッフが参加する「新スタッフ育成プログラム」が行われました。
これは、お客様向けの「基礎トレーニング・1DAY集中プログラム」をもとにした社内研修であり、
試用期間を終えたスタッフが現場の抽出業務に立つ前に受ける、重要なステップです。
トレーニングに先立ち、あらかじめ各講座の予習資料をお渡しし、
基本的な理論や用語を理解してから臨めるよう準備を整えました。
MicTでは、受け身ではなく「考えながら学ぶ」姿勢を大切にしています。
疑問を持ち、自らの手で確かめる。
それが“学びを自分のものにする”ための最初の一歩です。
● 珈琲の味覚講座(カッピング/60分)

トレーニングのはじまりは、味覚を整える時間から。
カッピングシートを渡し、理解してきたか簡単な質問をして確認。
並べられた7種類のカップに注がれたコーヒーのアロマを嗅いでいきました。
珈琲は名称は思い込みを防ぎため伏せてあります。
お湯を注ぎ、カッピングの基本を説明しながら準備。
カッピングその一連の動作のなかで、フレーバー、アシディティー、マウスフィール、スイートネスといった各項目を感じ取り、
「どんな果実に近いのか」「どんな質感を持つのか」を言葉にしていく練習を重ねました。

スタッフはカップに向き合いながら、
「この酸味は林檎のよう」「これはジャスミンに似ている」と、
思考を声にしながら香味の世界を探ります。
MicTが重んじる“味覚の言語化”は、ただ飲むだけではなく、
一杯の個性を正確に理解し、お客様に伝えるための基礎。
その基礎を体で覚える時間となりました。

● コーヒーブリュー講座(ハンドドリップ抽出/60分)
次に行われたのは、ドリップの時間。
お湯の温度、注ぐ速度、粉の膨らみ方──
ひとつひとつの要素が味をつくる要因になります。

同じ珈琲をそれぞれ2杯づつ抽出して風味を比べました。
スタッフはこんなに風味が違うのかと驚きこれからお客様に上手に出来るか不安がっていました。
カッピングの時とも風味が違うことにも気づいた未定でした。
少しずつ“自分のドリップ”の形を掴んでいく姿が印象的でした。

講師からは、「抽出はイメージをまずは大切にして、表現できるようになること」という言葉。
スタッフはうなずきながら、
香味の変化をノートに記録していました。

● バリスタ講座(エスプレッソ抽出・ミルクスチーム/60分)
午後は、緊張感の漂うバリスタ講座へ。
グラインダーの粒度を調整し、ポルタフィルターを均一に詰め、抽出ボタンを押す。
流れ出るエスプレッソの色や落ち方を見つめながら、
理想的な“抽出”を目指して微調整を重ねていきます。

カップから立ちのぼる香ばしい香りに包まれながら、
スタッフは何度も抽出の動作を繰り返し、
動きを染み込ませていました。

続くミルクスチームでは、温度と音の変化に耳を澄ませながら、
なめらかで艶のあるフォームミルクをつくる練習を繰り返しました。
最初は音の強弱に戸惑いながらも、
次第に「シュー」という柔らかい音が一定に響き、
理想の質感に近づいていきました。

● ラテアート講座(ハート・リーフ・エッジング/60分)
最後の講座は、表現の仕上げとなるラテアート。
注ぐ角度、流す速度、手の高さ。
ほんの少しの違いで、模様は全く別の姿になります。

ラテアートは、技術の先にある“想いの表現”。
MicTでは、一杯の中に心を込めて描くことを何より大切にしています。
一日のプログラムを終えたあとも、
すぐに現場に立つわけではありません。
MicTでは、その後も抽出精度や提供動作を先輩スタッフが確認し、
技術的にOKと判断されたうえで初めてお客様の前に立ちます。
“おいしい一杯”の裏には、
こうした丁寧な学びと確認の積み重ねがあります。

その夜、窓の外に十五夜の月が冴え冴えと浮かびました。
学びの時間を照らすその光は、
新しいスタッフのこれからを静かに励ますように輝いていました。
この日行われた社内トレーニングは、
一般のお客様にもご参加いただける「基礎トレーニング・1DAY集中プログラム」と同じ内容をもとにしています。
通常は4回に分けて学ぶ講座を、1日で凝縮した特別なプログラム。
味覚、抽出、バリスタ、ラテアート。
それぞれの分野を90分ずつ学び、短期間で一気に基礎を固めたい方におすすめです。
基礎トレーニングは、お客様にとっては学びを深めるプログラムであり、
MicTでは新スタッフの育成プログラムとして実施しています。
学ぶ立場が違っても、その根底にあるのは「珈琲をまっすぐに見つめること」。
それがMicTの学びの原点です。
スタッフもお客様も、学びを通して同じ景色を見つめられるように。
MicTはこれからも、技術と心を磨く時間を大切にしてまいります。
