焙煎機が、ついにやってまいりました。
長き時の川をゆるゆると下り、
幾度もの春秋をめぐりて、ようやく辿り着いた岸辺。
この日を、どれほど待ち望んだことでしょう。

思えば七年前、まだ静かな頃に心ひそかに描いた焙煎所の夢。
時は移ろい、人もまた移ろう。
寄り添い、励まし、道を照らしてくれた人がいれば、
やがて遠くへ旅立っていった人もいました。
そのたびに、また新しい人との出会いがあり、
花が咲き、やがて散り、そして次の季節がやってくるように、
私たちも少しずつ前へと進んできました。
焙煎機が到着する日に、煙突がつかないかもしれない──
そんな一抹の不安も、どうにか回避。
そして迎えたこの日。
朝から煙突屋さんが焙煎機の設置に間に合わせる為、準備に取りかかり、その後
焙煎機の設置に備えて待機してくださいました。
そこへ届いた知らせは、思わぬハプニング。
「焙煎機が富山店に着いてしまいました」
一瞬ひやりとしたものの、すぐに手配が整い、
焙煎機は高岡店へ向けて再出発。
先にメンテナンスの方々が到着し、
少し遅れて輸送班と焙煎機も無事に到着しました。
店先は一気に活気づき、空気がきゅっと引き締まります。

「これでいよいよ設置」と思ったのも束の間、
今度は電気の容量が足りないとの知らせ。
急いで改装担当の方に連絡を入れ、現場はさらに慌ただしくなりました。
お店の前には焙煎業者さん、ガス業者さん、電気工事の方、
そして改装担当さんまで集まり、
店先は業者さんの車でいっぱい。
営業中にもかかわらず、お客さまは遠慮がちに車をすき間に停めてくださり、
なんとも不思議で、どこか微笑ましい光景が広がっていました。

店内ではコーヒーの香りが漂い、
奥では作業の音が響き、
煙突屋さんは焙煎機の据付が終わるのをじっと待ちながら、
最後の工程──焙煎機と煙突をつなぐ作業へと取りかかってくださいました。

夕方になる頃には、少しずつ業者さんたちが現場を離れ、
最後に残ったのは焙煎メンテナンスの方お二人。
P12の状態を丁寧に確認し、細やかな調整をしてくださいました。
一日がかりで整えられた、新しい焙煎所。
それはまるで長い旅路を経て、ようやく辿り着いた岸辺のようでした。
明日は、いよいよ試運転と操作・メンテナンスのトレーニング。
幾度も思い描いた未来の情景が、いま目の前に開かれようとしています。
焙煎の音は新しい鼓動となり、立ちのぼる香りは、
この場所に新たな季節の風を吹き込むことでしょう。
──今日という一日は、きっと忘れられない記念日。
MicTにとって、新しい物語の第一章が始まる日となりました。
