富山駅前の空は、少しずつ群青に溶けてゆき、街の灯りが一つ、また一つとともりはじめていました。
この日の富山の日没は18時09分。
夏の名残と秋の気配が交わる夕暮れに、人々の影は長く伸び、空は静かに季節の色を映しています。
未明には月食も見られたそうです。
夜明け前の空に浮かぶ月は、刻一刻と姿を変えながら淡い光を落としていたといいます。
一日の始まりから終わりまで、空は絶えず物語を奏でていました。
昼の明るさから夕暮れの静けさへ、そして再び夜へ――
その大きな移ろいの中で、私たちは小さな一杯のコーヒーに心を寄せていたのです。
さて、楽しいコーヒーの時間のはじまりです。
この日のテーマは「メリタのアロマジック」。
これまで続けてきたいろいろなフィルターの検証も、今回でひと区切りとなります。
アロマジックは台形専用のフィルターで、円錐型のハリオV60にはそもそも合いません。
そこで今回は、同じ台形系のカリタを用いて検証を行いました。
(心の声:ここでメリタのドリッパーを使ってしまうと、検証の趣旨がブレるんですよね…。メリタの小さな一つ穴、あれがすべてを支配してしまう。お湯をどんなリズムで注いでも、結局は小さな出口のキャパシティで流れが決まってしまうんです。だから器の中でお湯が滞留してしまい、注ぎの工夫が味に映りにくい。要するに“注ぎを比べる実験”をしようとしても、穴の設計が先に色を塗ってしまうようなもの。
“9月8日|北日本新聞「珈琲入門 その6」” の続きを読む